【マンガ感想】
『センゴク天正記 15巻 (宮下英樹)』
センゴク天正記(15)<完> (ヤンマガKCスペシャル)
宮下 英樹 講談社 2012-10-05 by G-Tools |
過去記事はこちら → センゴク 1巻~11巻 12巻 13巻 14巻 15巻
センゴク天正記 1巻 2巻 3巻 4巻 5巻 6巻 7巻 8巻 9巻
【あらすじ】
合戦の勝利を重ねる織田信長は、ついに武田勝頼の本拠である甲斐国への侵攻を宣言した!!急速に巨大化する織田家は、もはや誰にも止められないのか‥‥。長篠の激戦より六年半の時を経て、織田・武田の決戦が始まる!!
『仙石権兵衛秀久』という実在の人物を主人公とした戦国時代マンガ。
圧倒的な画力、史実と創作の絶妙な融合、そして素晴らしい人物描写。
現在連載中の歴史マンガの中でも、最高峰と言っても間違いない作品です。
この作品が面白いところは、『仙石権兵衛秀久』という主人公がいるものの、
実際には、織田信長・豊臣秀吉・徳川家康など時代の権力者を主役として時代を動かしている点です。
あくまで、『仙石』は、彼らの一武将に過ぎず、歴史イベントに大きく関わってくることはない。
時代の権力者たちが行った『有名な戦』・『有名なイベント』を多少脚色して描きつつ、
その時、一武将である主人公がどのような行動を取ったのかを描いた作品なのです。
戦国時代のファンならば、必見の作品だと思います!!
さて、この『センゴク天正記』は、前作・『センゴク』の第2部に当たります。
誤解が無いように最初に書きますと、仕切り直しということで、15巻表示されておりますが、
この作品は、実質的『センゴク』の30巻目に当たります。
つまり、前作・『センゴク』を読んでいないと、面白さ半減は間違いないです。
やはりまずは前作・『センゴク』を読んで戴きましてから、この作品に手にしてくださいませ。
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ここからは、15巻の感想。
長篠の戦いの敗退から5年。 甲斐・武田氏はけして衰退することなく富国強兵策を
行っていた。 しかし、その富国強兵策は、家臣団・領民の支持を受けることが出来ず、
不満が徐々にたまっていくこととなってしまう・・・。
という感じで始まったのが15巻でして、長篠の戦いで敗れた甲斐・武田氏が織田・徳川の
内部分裂策により、一気に攻め滅ばされてしまう様子が描かれることとなりました。
そんな15巻のメインとなるのは、武田氏の衰退・滅亡ですね。
このイベントは、長篠の戦いで敗れてから5年が経ち、甲斐・武田氏が新府に拠点移動を
したところから始まります。 この拠点移動に関しては、単純に、織田・徳川に対抗するための
意味合いもあるのですが、実際には、中小独立国が連なる連邦国である武田軍を織田軍の
ように中央集権国家へ変化させるための意味合いも持っておりまして、当然のことながら
家臣団は不満を持つこととなりました(武田軍は、織田軍のように一つの集まりでは無く、
多くの領主が武田氏に従っているという連邦のような集まりであるため、武田信玄死後は
急速に武田氏への支持が弱まっている)。
しかも、その新府への拠点移転は、増税も課せられていたため、『武田勝頼』への不満は
増幅しており、ついに、武田の家臣団である『木曾義昌』が織田に裏切ることとなりました。
この裏切りと同時に、『織田信長』の長男・『織田信忠』は、武田領へ攻め込むこととなりまして、
『武田勝頼』も『木曾義昌』を打つべく、出陣することとなりました。 しかし、その『木曾義昌』の
裏切りは、武田軍の崩壊の始まりの合図となってしまったようで、『穴山梅雪』・『小山田信茂』・
『真田昌幸』などが次々と武田氏を裏切り、織田・徳川へ寝返ってしまうこととなりました。
その裏切りの連続に対して、武田勝頼は、拠点を次々と変えつつ、逃げ続けることと
なりました。 これ以上の展開については、ネタバレというか実際に読まれた方が面白いと
思うので詳しくは書きませんが、武田勝頼が安易に死を選ばず、最後まで逃げ続けようとした
理由は非常に興味深かったですし、何よりも、あの武田氏がここまであっさり崩壊してしまった
ことに驚いてしまいました。
いや~、面白かったです。
次巻も楽しみです。
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【総評】
今巻で、第2部が完結となりました(次巻から再び、1巻から再開)。
今巻のメインは、上記のとおり、武田氏の滅亡でありまして、第1部であれだけの強さを
見せつけていただけに、今巻の結末にはかなり複雑な感じがします。 まあ、次巻からは
その武田氏を倒した織田氏の衰退が描かれていくこととになるのですが・・・・。
次巻も大いに期待したいですね。
点数的には
100点
です。
では、ここまで。